獣害フェンスの選び方とおすすめ|イノシシ・シカ対策【現場基準】

管理の手間をゼロにする「物理障壁」の極意

失敗しない獣害フェンスの選び方
〜初心者が陥る「高さ」の罠を回避せよ〜

「フェンスを立てたのに、翌朝には下がめくられていた…」
そんな悲劇を防ぐために必要なのは、高価な資材ではなく「動物の習性を逆手に取った施工」です。
一度設置すれば10年以上あなたの土地を守り抜く、本当に強いフェンスの作り方を徹底解説します。

結論:フェンスは「下」を制するものが勝つ

多くの初心者が「シカが跳ぶから2メートルの高さが必要だ」と上ばかり気にします。しかし、現場で起きている侵入の8割は「フェンスの下をくぐる・掘る」ことです。
イノシシは鼻先の力で50kg以上の物体を押し上げます。シカも、まずは下から潜り込めないか試します。

① 「L字」で裾を塞ぐ

金網を地面に垂直に立てるだけでは不十分。外側に向けて地面に30〜50cmほど寝かせる「L字施工」をすれば、動物は自分の足元を掘ることになり、物理的に突破できなくなります。

② 支柱の「控え」で支える

どんなに頑丈な網も、柱が倒れたら終わりです。特に四隅や直線の長い区間には、斜めに突っ張る「控え杭」を入れ、押し倒されない強度を確保します。

③ 隙間を「遊び」で作らない

動物は「鼻先が入る隙間」を見つける天才です。地面の凹凸、水路との境目、段差。ここを石や追加の網で徹底的に埋めるのがプロの仕事です。

【ここがポイント!】
フェンスは設置した瞬間が「完成」ではありません。設置後に「自分がイノシシになったつもりで、下から鼻先を突っ込んで持ち上がるか」を確認してください。動くようなら、そこが入口になります。

電気柵とフェンス、あなたの現場にはどっち?

獣害対策の二大巨頭ですが、その性格は真逆です。コストだけで選ぶと「こんなはずじゃなかった」と後悔します。

比較項目 電気柵(心理障壁) フェンス(物理障壁)
最大のメリット 安価で広範囲に対応可能 一度立てれば放置で守れる
維持の手間 毎日の点検と草刈りが必須 数ヶ月に一度の緩みチェックのみ
設置の難易度 一人で簡単に設置できる 支柱打ちなど体力・時間が必要
おすすめの場所 頻繁に通う畑、一時的な防護 施設・自宅周辺・放置気味の山林
👉 「共働きで平日は見に行けない」「草刈りが苦手」という方は、迷わずフェンスを選んでください。 初期の苦労はありますが、その後の10年間の楽さが全く違います。
▶ 先に電気柵も確認:電気柵の選び方とおすすめ

現場で見てきた「残念なフェンス」3つのパターン

「資材は最高級。なのに一晩で突破された」という現場には、必ず共通のミスがあります。

1. 地面の凹凸を無視した施工

まっすぐな網を張ると、地面がへこんでいる場所に必ず隙間ができます。イノシシはここを見逃しません。
対策:地形に合わせて網をカットするか、裾に「スカート(余り網)」を付けて土嚢や石で固定しましょう。

2. 支柱の間隔が広すぎる

コストを浮かせようと支柱を4〜5メートルおきにすると、網がたるみます。たるんだ網は動物にとって「踏み台」や「潜りやすいカーテン」になります。
対策:基本は2メートル、最大でも3メートルおきに支柱を立て、ピンと張ることが鉄則です。

3. シカの「跳躍」を誘発する足場

フェンスのすぐ外側に切り株や岩、段差はありませんか?それが「踏み台」になり、1.5メートルのフェンスも軽々跳び越えられます。
対策:フェンスの外側1メートル以内は、できるだけフラットに整地してください。

シカ対策の場合:
フェンスは最低1.8m以上が基準になります。 斜面や助走スペースがある場所では、2.0m以上が必要です。
シカが跳び越える理由と最適なフェンス設計
👉 施工判断に迷うなら:DIYと業者の境界線 / 費用の全体像:獣害対策の費用まとめ

【目的別】初心者におすすめのフェンス資材選び

「どれを何枚買えばいいか分からない」という方へ。まずは用途に合わせて、以下のカテゴリーから探してみてください。

① 自宅や施設の周りを守る「パネルメッシュ」

  • 特徴:硬いスチールパネルで、押し込みに非常に強い。見た目も綺麗。
  • メリット:支柱にパネルを引っ掛けるだけなので、直線の施工が非常にスムーズ。
  • 注意:傾斜地には不向き。裾の隙間ができやすいので追加の裾隠しを。

② 農地や山林を広範囲に囲う「アニマル金網」

  • 特徴:ロール状に巻かれた柔らかい金網。地形の変化に柔軟に対応できる。
  • メリット:L字施工(裾を寝かせる)がしやすく、イノシシ対策に最適。
  • 注意:ピンと張るのにコツがいる。番線やタッカーを用意しましょう。

③ 絶対にやり直したくない人向け「単管パイプ施工」

  • 特徴:工事現場で使われる単管パイプを支柱にする、最強の自作フェンス。
  • メリット:とにかく頑丈。雪の重みや大型個体の突進にもびくともしない。
  • 注意:資材が重く、運搬が大変。電動工具(インパクトドライバー)が必須。
👉 「まずは全体コストを把握したい」なら:獣害対策の費用まとめ

初心者のためのQ&A

Q. 網の「目」の大きさはどれくらいがいい?

イノシシ対策なら10cm角以下、ウリ坊(子供)の侵入も防ぐなら5cm角が安心です。シカは網目より「高さ」を意識してください。

Q. 自分で設置できる?それとも業者?

50メートル程度の平坦な土地なら、DIYでも十分可能です。ただし、100メートルを超える場合や、岩盤が多くて杭が入らない場所、急斜面などは、専門業者に依頼したほうが「結果的に安上がり(壊れないから)」になります。
▶ 判断の基準:DIYと業者の境界線

Q. 錆びてすぐにボロボロにならない?

「亜鉛メッキ処理」が施されたものを選びましょう。安価な未処理の鉄線は2〜3年で錆びて脆くなります。長く使うなら「ドブメッキ(溶融亜鉛メッキ)」と記載があるものが最強です。

まとめ:フェンスは「最初のひと手間」で10年が決まる

フェンス対策で後悔しないためのポイントを復習しましょう。

  • 上より下を固める(裾のL字施工)
  • 支柱をケチらず、控えをしっかり取る
  • 自分の現場が「草刈り・点検」ができる環境か見極める

フェンスは設置するまでが大変ですが、一度立ててしまえば「今夜は大丈夫だろうか…」という不安からあなたを解放してくれます。 まずは小さな範囲からでも、物理的な壁を作ってみることをおすすめします。